口腔ケアの際に介護職員が配慮するべきこと

自分自身で口腔ケアができない要介護者に対しては、介護職員が代わりに歯みがきを行います。要介護者に歯みがきをする際は、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。まず加齢に伴い手の細やかな動作が不自由なると、セルフの口腔ケアでは歯と歯ブラシの角度を直角にして手を大きく左右に揺らす動きが主流になりがちです。歯みがきにおけるこの動作は、横みがきと呼ばれています。
横みがきでは歯ブラシの歯に当たる面積が大きくなるため、短時間でもちゃんとした口腔ケアができているような感覚になりがちです。しかし実際のところ短時間の横みがきだけでは、多くのみがき残しが生じます。

歯と歯ブラシの角度が直角だと、歯ブラシの毛先が歯の間に届きにくくなるためその部分にどうしても汚れが残ってしまいます。そのため介護職員が代わりに歯みがきを行う際は、縦みがきの比重を高めることが重要です。細やかな動作がしづらくなっている高齢者にとっては、他者から縦みがきをしてもらうことで歯と歯の間に残っている汚れを取り除くことができるのです。
また、介護で歯みがきをする際は、歯ブラシを歯に当てる力の加減も重要です。自分自身では歯茎の痛みを感じることができないため、介護職員はつい力を入れてゴシゴシと磨いてしまうのです。しかし歯茎に痛みを感じるくらい力を入れて磨くと、歯の表面にあるエナメル質に傷がつき象牙質が露出してしまうリスクがあります。歯みがきの際は要介護者に歯茎の痛みを確認したり表情の変化を読み取りながら、力の加減を調整する姿勢が介護職員に求められます。